20251001 第3回 「喜ばせごっこ」

  審判活動は、年齢・性別・出身・職種などによらない人たちの集まりですので、日常とは異なる新しい発見や学びがあると思います。私自身、29歳から審判を始め、楽しいなあと実感するには時間がかかりましたが、いろいろな選手・監督・審判員・運営係・観客の皆さんと交流させていただき、人生を豊かにすることができたと感じています。
選手・監督から辛い言葉や理不尽な態度をぶつけられた時もありました。今から振り返ると、判定の正誤に加えて、選手の感情やゲームの流れを無視した自分本位の権威的なレフェリングだったと悔やまれます。選手や監督は非常に敏感であり、突発的に対立を引き起こします。一方で、危険なプレーや狡いプレーなどが起こらないようにマネジメントすると、選手も協力的にプレーしてくれました。試合終了後、清々しい表情でピッチを離れる姿を見ると嬉しくなりました。
試合しか会わなかった選手や監督と、今でも笑顔で昔話しをすることがあります。立場は違っても、時間を共有し、それぞれが全力で取り組んだ結果だと思われます。
試合を通して、審判は選手を喜ばせ、選手は審判を喜ばせてくれます。勝ち敗けという結果が伴いますが、選手が何らストレスを感じずプレーに集中し、タイムアップ時に選手たちが怪我なく、相手と精一杯戦ったと感じてもらえば、審判員にとっては最高の喜びです。その達成感が審判を続ける力になります。
さらに、もう一つ、審判を続ける力に審判仲間の存在が大きかったです。特に、うまくいかなかった、判断・判定ミスをした、選手との関係性がうまく築けなかった時など、一言アドバイスや励ましの言葉をもらえると救われました。決して、慰めだけではなく、事実を突きつけられ、するべきことを明確にしていただけたことによって自分を冷静に振り返ることができました。そして、「次こそは」と心を奮い立たせた覚えがあります。今のように情報が簡単に得られない時代でしたので、電話、手紙・ハガキで励ましていただいたこともあります。本当に仲間がいてよかったと思っています。そして、自分自身もそういう存在になり、「喜ばせごっこ」がしたいと思っています。
市川には、各種講習会だけではなく、SS(原則奇数月第2土曜日)、寺子屋(原則第3月曜日)、茶話会(原則偶数月第3木曜日)、親睦会(12月)などがあり、申し込みをしなくても参加できますので、自分から仲間を広げてはいかがでしょうか。自分と同じ悩みや楽しみを共有し、審判活動を楽しみたいです。審判での「喜ばせごっこ」を味わってみませんか?